毎年、夏が来るたびに海へ出掛けるクセがあった。
それも友人等で泳ぎに行くといった華やかな目的ではなく、たった一人で愛車のアメリカンバイクに乗り、目的もなく「海」へ行く。
俺は、糸島半島にある二見ケ浦と、東区にある志賀島の海が特別好きだった。
俺は、海辺や海岸沿いにバイクを止めて適当な場所に腰を下ろすと、後は缶コーヒーを飲みながら、ただひたすら陽が沈むまで「海」を見ていた。
ぶっちゃけ、他人からは「どこのナルシストだ?コイツ…(笑)」と、思われていたに違いなかったが、無理からぬ事だったろう。
数年前、当時の俺はいろいろな事に絶望し、自滅していて全てから逃げ出した。
…そして辿り着いたのが、志賀島(半島なので行き止まり)だった。
そのとき俺は、いくら遠くに逃げ出そうとしても、逃げ出せない“現実と限界”がある事を身をもって知ったのだ…。
俺は愕然として、その場で立ち尽くすだけだった。
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…やがて、しばらく海を眺めていると、何だか頭の中のモヤモヤがうっすらと晴れてきて、俺は
「この海の向うではどんな人がいるんだろう?今の俺と同じく悩みや苦しみ、ひとり海に来ている人もいるんだろうなぁ。いや、戦争や飢餓で、毎日、死と背中合わせで苦しんでる人も大勢いるんだよなぁ…」
と、そんな、普段は考えないような世界的規模な問題までが浮かび、何だか今の俺が本当にちっぽけに思えてしまって、心の傷も小さくなって消えていったのだ…。
『やはり、海は偉大だ!』
それから、俺は休日になると好んで「海」に会いに行くようになった。
徐々に、ウォークマンや文庫小説を持参して、時間を楽しむ余裕も出てきたのも何だか笑えてしまう。
…まあ、それも数年前までの話。最近は、おかげ様で随分と「海」に会いに行っていない。
今夏は休みもあるし、久しぶりに顔を出しに行こうかと思う。
「あれからバイクは変わってしまったけど、俺は変わらず元気でやってるよ!」
…ってね。
(過去日記解説)完全に自分に酔っているというか、病んでた頃の日記ですw 2007年7月